朝日新聞社説「ダム建設中止―流域で受け止める治水へ」(水源連)

槇尾川ダム中止を受けて書かれた朝日新聞の社説です。この社説に書かれているように、ダム検証では治水計画の目標を見直すことがぜひとも必要です。

以下、報道記事を一部引用します。全文は新聞社のホームページでご覧ください。

・・・・・・・・・・・・引用開始

朝日新聞社説 ダム建設中止―流域で受け止める治水へ

朝日新聞 2011年2月17日

いったんはゴーサインを出し、すでに本体工事が始まっていた大阪府の槙尾川(まきおがわ)ダムの建設を止める。橋下徹知事がそう決断した。

本体着工後のダム建設中止は極めて異例だ。本体工事が凍結されている群馬県の八ツ場(やんば)ダムと比べると、貯水量は70分の1以下と小さいが、中止がもつ意味は小さくない。

知事就任後の2009年9月に着工したが、建設慎重論に耳を傾け、見直しを表明した。専門家を入れた委員会で議論を重ねてきた。

河川改修の方が費用は少ないという試算が出た。環境への影響も小さい。

危険な場所は河床を掘り、川幅を広げる。川岸ぎりぎりに立つ家は移転してもらい、流木をせき止めそうな橋は架け替える。そうすれば、ダムをつくらなくても安全を確保できる。これが知事の結論だ。

日本の治水の考えは「水を河道に封じ込める」。これがダム建設を支えた。だが最近は、ダム防災の想定とは異なる局地的豪雨が各地をたびたび襲う。ほかの河川でも、ダムにばかり頼らず流域全体で雨を受け止める総合治水を検討すべき時期に来ている。

河川改修に遊水池などを組みあわせる。ハザードマップの開示や避難ルートの作成というソフト対策を急ぐ。いずれも住民の協力が欠かせない。

大阪府は今回、治水目標を見直した。これまで府管理の河川では「100年に1度の雨(時間雨量80ミリ)」でも水があふれないことをめざした。

ところが全域で達成するには50年と1兆円余がかかる。財政の現実を考えると、実現はむずかしい。

そこで河川ごとに目標を見直した。槙尾川では「30年に1度の雨(同65ミリ)」に対応することにした。

「絵に描いた餅」となりかねない高い目標を掲げるより、現実的な水準を選択したという。

人命を守ることを優先し、床上浸水は阻むが、場合によっては、床下浸水は我慢してもらうといった発想だ。

地元には依然、ダムを求める声がある。今後、住民の協力を得て、安全な地域づくりを進めることができるかどうか。工事のために木を伐採した山の復元や受注業者への違約金といった課題もある。きちんと解決し、中止のモデルにしてほしい。

昨秋から、国土交通省の方針で全国でダム事業の検証が進んでいる。

対象となった計画段階のダムが必要かどうか、本気になって洗い直さなければならない。それには、形骸化した治水目標の見直しが肝心だ。

情報公開を徹底し、公開の場で異なる立場の人が意見をぶつけ合う。そのうえで政治家が決断することだ。

本体着工し、検証の対象外とされたダムでも止めることはできたのだ。

・・・・・・・・・・・・引用終了
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by suigenren | 2011-02-17 00:00 | 報道記事


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